「侍従長の回想」 藤田 尚徳 1961年刊
1946年2月の言葉
私が止めさせたので終わった。
それが出来たくらいなら
なぜ開戦前に戦争を阻止しなかったのか
という議論であるが、
なるほど、
この疑問には、一応の筋は立っているようにみえる
如何にも尤もと聞こえる。
しかしそれは
そうは出来なかった
申すまでもないが、
我が国にが厳として憲法があって
天皇は、この憲法の条規によって行動しなければならない
もしそうせずに
私がその時の心持ち次第で
ある時は裁可し、
ある時は却下したとすれば、
その後責任者は
いかにベストを尽くしても
天皇の心持ちによって
何となるか分からないことになり
責任者として国政につき
責任をとることが出来なくなる
これは明白に
天皇が憲法を破壊するものである
専制政治国ならばいざ知らず
立憲国の君主として
私にはそんなことは出来ない
0 comments:
Post a Comment